この記事では、オリジナルのミシン刺繍を試してみたい人にオススメの図案が作れるフリーソフトについて紹介していきます。
刺繍ができるミシンを持っていても、ミシンに搭載されているデザインや、出来合いの図案をダウンロードするだけでは物足りないですよね。
そもそも刺繍ソフトとはどんな物なのか、データの作成方法についても解説していきます。
有料のソフトもありますが、それらを買う前にまずはフリーソフトで作業を試してみてはいかがでしょうか?
パソコンを持っていればすぐにダウンロードできるフリーソフトは、ミシン刺繍初心者の強い味方です!
ぜひあなたもチャレンジしてみてください。
刺繍ソフトとは?どういうもの?
そもそも刺繍ソフトってどんなことができるのでしょうか?
ここでは、刺繍ソフトについてや使うメリットについて説明していきます。
刺繍ソフトってどんなもの?
刺繍ミシンを持っている、もしくは興味があるというあなたなら「刺繍ソフト」という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、具体的にどんなものなのかを全て把握できていますか?
私も、当初はなんとなくのイメージしか持っていませんでした。
使う前に、刺繍ソフトがどんな物なのかをしっかりと理解しておきましょう♪
でも、実はそんな簡単な物でもないんだよね…。
刺繍ソフトと一口に言っても、オリジナルの原案を刺繍データに変換するためには、3つの機能が必要になります。
- デジタイザー(デジタイザ)
- エディター(エディタ)
- フォント・文字入力
では、それぞれ解説していきます。
デジタイザー(デジタイザ)
デジタイザ(digitizer)
デジタイザとは、信号や人間の操作をデジタル化(digitize)し、データとしてコンピュータに取り込む装置。デジタル化する対象や方式により、まったく異なるいくつかの機器をこのように呼ぶ。
引用:IT用語辞典
なんだか分かりづらいですが、つまりはこういうことです!
デジタイザーとは、「人が描いたイラストなどを、コンピューターに取り込むための装置」のことを指します。
エディター(エディタ)
エディタ(editor)
エディタとは、データの作成や編集(edit)を行うためのソフトウェア。“editor” の原義は「編集者」。
引用:IT用語辞典
これも、噛み砕いて言うとこんな感じになります。
描いたイラストや文字をきれいに整えるために編集するソフトウエアのことを言います。
パソコンをいじったことあるあなたは耳にしたことがあるかもしれませんが、フォトショップ(Adobe Photoshop)やイラストレーター(Adobe Illustrator)はイラストエディターの代表格です。
フォント・文字入力
イラストのデータだけを作る場合には必要ありませんが、好きなフォントでイニシャルなどの図案を作りたい場合には必要になります。
さきほど紹介したエディターの一種になりますが、文字やフォントを入力するための機能(=テキストエディター)です。
よく文字入力で使うMicrosoft Wordなんかはテキストエディターではありません。
テキストエディターは、あくまで文字を入力するためだけのソフトウエアです。
大まかに言うと、この3つの機能を持ち合わせたソフトウエアが刺繍ソフトとして使うことができるのです。
あとは、
- ミシン用にデータをうまく変換できるか
- ミシンにうまくデータを転送できるかどうか
のポイントを注意すればいいということです。
刺繍ソフトにはどんな物があるの?
ここでは、どんな刺繍ソフトウエアがあるか紹介していきます。
使い方も様々なので、まずは世界にどんなソフトウエアがあるのかを知っておきましょう。
SewArt + SewWhat + SewWrite とは?
画像引用:Make: Japan
デジタイザー、エディター、フォント・文字入力がそれぞれ分かれたソフトウエアです。
WindowsにもMacにもダウンロード可能です。
価格もそれぞれ比較的安くて、作りもシンプルなので刺繍ソフト初心者にはオススメです。
SewArtは、イメージファイル(.jpg/,pngなど)を刺繍用フォーマットに変換してくれるソフトです。
SewWhatは、刺繍用フォーマットに変換したデータの色や形を編集することができるソフトです。
SewWhiteは、刺繍データに文字やフォントを入力できるソフトです。
ただし、現時点ではWindows用フォントのアルファベットのみに対応しています。
価格はダウンロードの場合は$40~$75なので、全ての機能を揃えたとしても$200以内で治ります。※2019年4月時点
日本語対応はしていませんが、アイコンと簡単な単語だけなので、使っているうちに十分マスターすることができます。
そうなんです!
このソフトウエアのように、3つの機能がそれぞれ別のソフトウエアになっている場合は、自分の持っていない機能のソフトウエアだけを購入すればいいということなのです。
例えば、Photoshopは持っている場合はエディター機能のソフトは必要なくなります。
ただし互換性の問題もあるので、必要最低限のソフトをダウンロードしてみてうまくいかない場合は、全てのソフトを刺繍用に買い揃える必要がある可能性もあります。
Embird とは?
画像引用:Embird
こちらのソフトウエアは、デジタイザー、エディター、フォント・文字入力がセットになっています。
クロスステッチの図案も作れるので、かなり優秀でミシン刺繍初心者というよりも、ある程度ソフトの操作に慣れてから使うことをオススメします。
このソフトもWindows、Macどちらにも対応していますし、日本語版も販売されています。
価格は、英語版で$199、日本語版(2016年版)で¥19,800(税別)です。※2019年4月時点
デジタイザー、エディター、フォント・文字入力のどの機能のソフトウエアも持っていないあなたにはオススメです。
また、日本語版ではひらがな・カタカナ・一部の漢字を使った図案も作れるので、そういった図案に興味がある場合にもオススメです。
ミシンメーカーが開発したソフトは?
その他、刺繍ミシンメーカーがそれぞれ独自のソフトを販売しています。
ミシンを買うときにセットで買うのもいいですね♪
デジタイザー MBX V5(JANOME)
こちらはJANOME(ジャノメ)が発売しているデジタイザーソフトです。
わかりやすくシンプルなので、とても使いやすいです。
手描きイラストはもちろん、写真も刺繍データ化できますし、クロスステッチの図案にも対応しているので、初心者も上級者も満足できる内容です。
ただし、価格は¥170,000(税別)※2019年4月時点 とかなり高価です。
AcuStitch(JANOME)
こちらは搭載されている17種類のデザイン(丸や三角など)と117種類のステッチ模様を組み合わせてオリジナル図案を作ることができます。
作れる図案の自由度は低いですが、価格は¥10,000(税別)※2019年4月時点 というのは嬉しいです。
AcuStitchは、iPad専用の刺繍アプリも販売しています。
つまり、パソコンを持っていない場合でも使えるんです!
刺しゅうPRO(brother)
こちらは刺しゅうソフトの中でも人気のもので、brother(ブラザー)が発売しているソフトです。
ただし、Windowsのみの対応でMacには対応していません。
価格は、¥69,800(税別)※2019年4月時点 です。
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このように、ソフトウエアメーカーやミシンメーカーがそれぞれ独自の刺繍ソフトを発売しています。
特徴や使い勝手も様々なので、購入を考えている人はぜひ参考にしてください。
刺繍ソフトでフリーなものはある?
ここまでは有料ソフトを詳しく説明してきましたが、やっぱり無料に越したことはないですよね。
ここではフリーの刺繍ソフトを紹介していきます。
ミシン刺繍の初心者で刺繍ソフトを試したい場合や、お金をかけずにミシン刺繍を楽しみたいあなたは、ぜひ参考にしてくださいね♪
Inkscape(インクスケープ)とは?
フリーの刺繍ソフトと言えばこれです!
ベクター形式で自由に線や図、文字を描くことができます。
ただし、他のドローソフト(絵を描くソフト)を使い慣れていない人には少し作業が大変です。
でも、練習すれば使えるようになるはずです!
いちからマウスなどを使って絵を描くこともできますし、イメージファイル(.jpgや.pngなど)を取り込んで、それに色付けすることもできます。
Windows・Mac両方に対応していますので、大抵のパソコンで使えます。
このソフトはあくまで絵や文字を描くためのドローイングソフトです。
ミシンに取り込むためには、刺繍ファイルに変換するソフトが別に必要です。
ダウンロード方法はこちらのサイトを参考にしてください。
Inkscapeは無料ソフトの割に色々できてとても便利ですが、その分使い方も複雑です。
また、刺繍以外の目的で使うことも多く、解説を読んでもなかなか「ずばり!」の使い方がわかりません。
ただ、基本的なソフトの使い方をマスターすれば、あとはデータの保存方法などいくつかのポイントを押さえれば刺繍ソフトに変換できます。
刺繍データの作成に特化していませんが、Inkscapeの使い方を解説した本も販売されています。
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刺繍データって?どうやって作成するの?
ここでは、刺繍データの作成方法について詳しく説明していきます。
手描きをスキャンして下図に使うもよし、可愛いフォントを使ってイニシャルを作るのもよし、刺繍データを自分で作れるようになると作品の幅が一気に広がりますよ。
色々な刺繍ソフトについて紹介してきましたが、あなたがすぐにデータ作りに挑戦できるよう、ここではフリーソフトのInkscapeを使った方法を説明していきます。
興味がある人はぜひ挑戦してみてください♪
Inkscapeのアイコンを解説☆
ここでは、刺繍データを作る時によく使うアイコンなどを簡単に紹介していきます。
ここで紹介した以外にもものすごくたくさんの便利な機能があります。
刺繍データ作成以外にも、ペーパーアイテムの作成などにも使えますので、使い方をマスターして使いこなしちゃいましょう♪
これがソフトを立ち上げると出てくる画面です。
ウィンドウ上部に各種設定等、左(縦)に図や文字を描くためのツール、下部で色を選択できるようになっています。
ここで、新規ドキュメント作成から文字設定、用紙サイズなどの設定もできます。
ここで色塗りや文字の色を選ぶことができます。
上部「ファイル」では、画像の取り込み(インポート)や書き出し(エクスポート)、保存や印刷などができます。
上部「オブジェクト」では、画像の回転や前後関係を変えることができます。
上部「テキスト」では、文字を使う場合のサイズ(pt)やフォントを選ぶことができたり、曲線に沿って文字を入力することもできます。
上部「エクステンション」の中の「レンダリング」は、刺繍データに変換できる形式でファイルを保存するために必ず使います!
選択ツール:図形などを選択したり、移動したい時に使います。
ズームツール:図形などを拡大・縮小したい時にに使います。
ものさしツール:距離を測りたい時に使います。
矩形ツール:四角形を描きたい時に使います。
円/弧ツール:円形や弧を描きたい時に使います。
星型ツール:星型や多角形を描きたい時に使います。
らせんツール:らせんを描きたい時に使います。
鉛筆ツール:フリーハンドの線を描きたい時に使います。
ペンツール:直線やベジエ曲線を描きたい時に使います。
カリグラフィツール:カリグラフィやブラシで線を描きたい時に使います。
テキストツール:文字を描きたい時に使います。
消しゴムツール:描いた図案などを一部消したい時に使います。
バケツツール:線で囲われた部分を塗りつぶしたい時に使います。
ここで紹介したツールはあくまでほんの一部です。
図案を凝ったものに仕上がるのに使える機能がたくさんあります。
ぜひダウンロードして、色々な機能を試してみてください♪
Inkscapeの基本的な使い方は?
では、イラストに色を付けて刺繍データに変換する方法を説明していきますね♪
私のパソコンはMacなので、Windowsを使っている場合は少し画面の雰囲気が違います。
先ほど紹介したダウンロード先からInkscapeをダウンロードしたら、早速作業開始!!
…実は、刺繍データを作りたい場合はそうもいかないのです。
先ほどは「Macにも対応」と書きましたが、刺繍データを作る時にMacパソコンでの作業はオススメできません!
プラグインの追加が普通の人だとかなり難しく、またレンダリングもうまくいかないことが多いです。
Windowsの場合は、ダウンロードしたプラグインファイルを所定の場所に入れるだけで使えますが、Macの場合はターミナル(コマンドという命令文を書いてMacの操作や設定をすること)をいじらなくてはいけません…。
つまり、「普通にパソコンを使える」というだけでは設定が難しいのです。
カリグラフィなんかも書けるので、Macのパソコンを使っているあなたは手刺繍の図案作りでは大活躍すること間違いなしです!
ソフトウエアとプラグインをダウンロードできたら準備完了です♪
ここでは、フリー画像に色付けして刺繍データにする方法を紹介します。
1.ドキュメントのサイズを変更する。
まず、Inkscapeを開くと上のようなウィンドウが開きます。
この時点ではドキュメントサイズは210mm×297mm(=A4縦)サイズになっています。
今回は刺繍サイズ70mm×70mmに変更してみましょう。
□のアイコン(「このドキュメントのプロパティを編集」)をクリックします。
すると、ページサイズを編集できるウィンドウが出てきます。
□の部分に作りたいデータ(刺繍)の大きさを入力します。
そうすると、ドキュメントの大きさが変わります。
2.刺繍にしたい画像を取り込む。
「ファイル」→「インポート」をクリックします。
取り込みたい画像ファイルを選び、「Open」をクリックします。
下のようなウィンドウが出てくるので、下のままで「OK」をクリックします。
そうすると、下のようにデータを取り込むことができます。
あとは、「選択ツール」で画像をドキュメントの上に移動して、好きな大きさに拡大します。
3.画像に色を付ける。
「バケツツール」をクリックしてから、画面下のカラーバーから好きな色を選んでクリックします。
あとは、境界線で囲まれた部分にカーソルを運んでクリックすると、色塗りされます。
4.境界線も忘れずに色を塗る。
忘れがちな作業なので気をつけましょう!!
要領は3.と同じです。
好きな色を選んで、今度は境界線の上でクリックしましょう。
分かりづらいかもしれませんが、境界線を黒からこげ茶に塗りました。
5.下図を削除する。
「選択ツール」を使って、最初に取り込んだ画像をずらします。
仕組みとしては、最初に取り込んだ画像の上に色塗りを重ねたということになります。
最初に取り込んだ画像を選び、「編集」→「削除」で消します。
これでひとまず画像の編集はおしまいです♪
6.刺繍データに変換できるようにドキュメントを保管する。
「エクステンション」→「レンダリング」→「Embroidery」を選択します。
この作業をすることで、色別にデータが分解されます。
Embroiderの小さなウィンドウが出てきたら「Apply」をクリックします。
(ステッチ一針ごとの長さなどが設定できますが、最初はそのままにしてみて、徐々に調整するようにしましょう。)
複雑なデータだと、ここでかなり時間がかかります。
平気で5分以上かかる可能性もありますので、慌てず気長に待ってみましょう。
「embroider-output.exp」とついたファイルがパソコン上にできれば成功です♪
7.持っているミシンに合ったデータに変換する。
手持ちの刺繍ミシンに合わせたデータに変換しましょう。
フリー変換ソフトやフリー変換サイトを使ってもいいですし、持っているミシンのメーカーが作った変換ソフトを使えば間違い無いです。
エラーでいつの間にか塗った色ではなくなっていても気にしないでください!
大事なのは、色別にデータが分かれたかどうかをチェックすることです。
自分でミシンが刺す順番通りに糸を取り替えていけばいいのです!
ちなみに、文字の刺繍データ作成を動画で解説しているものを見つけました♪
文字を使う場合は「テキストツール」を使い、手描きのイラストを使いたい場合は描いたイラストをスキャンで取り込んでしまえばいいだけです。
今回紹介した手順を応用すれば、大抵の刺繍データが作れるはずです。
Inkscapeはかなり奥が深いフリーソフトです。
解説本を読みながら一気に使い方をマスターしてもいいですし、使っていくうちに徐々に色々な機能をマスターしてもいいですね。
まずは、簡単な図案からデータ化してみましょう♪
今回のまとめ
今回は、オリジナルのミシン刺繍を試してみたい人にオススメの図案が作れるフリーソフトについて紹介してきました。
無料ソフトから有料ソフトまで種類は様々ですが、どれを使ってもミシン刺繍の世界が一気に広がること間違いなしです!
パソコンを持っていない、操作が苦手だ、そんな場合はタブレットを使って作業してみてもいいですね。
パソコン操作が得意で刺繍が好きなあなたは、きっと刺繍ソフトにハマるはずです!
手刺繍も味わいがあっていいですが、きれいにスピーディーに仕上がるミシン刺繍も素敵です。
ぜひ興味があったらチャレンジしてみてくださいね♪
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